バラが登場する文学作品や、文学作品にちなんだバラを集めてみました。
お気に入りのバラに関係する本を読んだら、さらに愛着がわくかも?
「星の王子さま」はフランス人小説家、アントワーヌ・ド・サン-テグジュペリの小説です。1943年にアメリカで出版されてから現在にいたるまで、世界中で愛されています。 この本に登場するバラは、美しく魅力的だけれど見栄っ張りの嘘つき。王子さまを困らせる存在として描かれています。サン-テグジュペリの奥さん、コンスエロを象徴しているという説もあります。 さて、バラ好きとしては「星の王子さま」のバラがどの品種なのか気になります。そこで、作品中に出てくるバラの特徴を書き出してみました。 まず「星の王子さま」が発表されたのは1943年。バラの歴史を変えた名花「ピース」が作出され「ハイブリット・ティー・ローズ」系が爆発的に普及する2年も前です。ということは「ハイブリット・ティー・ローズ」系が普及する前のバラたち「オールドローズ」系である可能性が高いです。 そして、文中に「ぼくの花は、ぼくの星をいい香りでみたした」とあるので強香のバラである事は確実です。色は、ラベンダーピンクと朱赤の2色で描かれています。 花姿については文章と挿絵が矛盾していて、判断が難しくなります。文中には「花びらが一重で」とあるのですが、挿絵を見ると花びらが多くてぽってりとした八重咲きのバラが描かれています。間を取って、半八重平咲きなどでしょうか?もしくは、環境によって花びらの数が変わるタイプのバラかもしれません。 他には、文中に「場所をとらない、誰の邪魔にもならない、素朴な花だった」とあり、コンパクトな樹形のバラである事が伺われます。挿絵でも小さな1本の樹に花が一輪だけ咲いています。 さらに詳しく見ると、「ぼくのバラと同じようなバラ」が壁一面に咲いている挿絵と「同じようなバラが5千本もある」という文章があります。ですので、枝変わりで花付きの良いつるバラが作出されている品種や、似た雰囲気のつるバラがある品種だと、ぴったりくる感じがします。 さて、この条件にあてはまるバラとは? 「王子さまのバラ」はこれに違いない!という品種があったら、ぜひ教えて下さい。 |
1980年に出版された、中世イタリアが舞台のミステリー小説です。 作者のウンベルト・エーコは、イタリアの大学教授。専門が記号論哲学と中世研究というだけあって、理屈っぽいダ・ヴィンチ・コードといった感じです。 キリスト教の基礎知識があることを前提に書かれているので、日本人に分かりにくい部分が多いです。 分からない所を調べながらネチネチ読むのもよし、こだわらずにさっさと読んでも謎解きミステリーとして楽しめます。 意外にも、物語中にバラの花が出てくるシーンはありません。詩が紹介されており、そこにちょっと出てくるだけです。 stat rosa pristina nomine, nomina nuda tenemus. 実念論とか唯名論とか哲学的な話の例えとしてこの詩を引用し タイトルにも使われた、という事のようです。このあたり、正直よく分かりませんでした(*_*) 作品中に出てくる農民の娘をバラに例えているという説もあり 映画はその解釈で作られています。 しかし、小説中の娘の扱いは、頭に来るくらい軽いですし 作者のエーコも「小説と映画は別の作品として楽しんでほしい」と コメントしているので、この説はどうも違うようです。 余談ですが、もしこの小説にバラの花が登場するとしたらどんな品種になるのか考えてみました。 まず、14世紀が舞台なので、原種のバラだろうと思います。 広くヨーロッパに自生する「ロサ・カニナ」などでしょうか。品種改良された豪華な現代バラとは違う、可憐な野の花といった雰囲気のバラです。>>>ロサ・カニナを見る
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